倉庫のカビ対策で気をつけたい4つのこと
倉庫は構造的に窓や出入口が少なく、高温多湿になりやすい傾向があります。高温多湿になった状態で放置すると、カビや虫の発生のおそれがあります。保管物や倉庫が劣化する可能性があると同時に、人体にも影響が出てしまうかもしれません。今回は倉庫におけるカビ対策についてご紹介します。
Contents
倉庫にカビが発生する原因
流通に欠かせない物流センターや商品の保管庫として使用する倉庫。管理面で大切なことは、「倉庫内の温度・湿度」です。温度・湿度管理を怠り、保管物を長期間にわたって劣悪な環境に放置した場合、保管物にさまざまなダメージが生じるおそれがあります。
倉庫は仕切りが少なく天井が高いため、空調効率が悪くなりがちです。さらに窓や出入口が少ないと、換気によって湿気を外部に逃がしにくい構造になってしまいます。
倉庫内にカビが発生すると見た目が悪いだけではなく、カビの胞子が肺に入ることで健康被害の原因になる可能性もあるのです。まずはなぜ倉庫にカビが発生してしまうのか、原因をご紹介します。
通気性が悪い
倉庫内に大量の荷物を保管している場合、倉庫内の空気と屋外の空気を上手く交換できず通気性が悪くなることがあります。通気性が悪くなると倉庫内の湿度が上がり、カビの原因となります。
特に夏場は倉庫内が高温になりやすいため、空気に含まれる水蒸気の量が増える傾向があります。
ホコリや汚れが溜まっている
カビが繁殖する条件として高温・高湿度・ホコリの3つが挙げられます。これらの条件が揃うと、カビは爆発的に増加するのです。春から夏、特に梅雨の時期は高温多湿になるため、注意が必要です。
ホコリは人の通行が少ないところや荷物の隙間などに溜まりやすいため、定期的に倉庫内を掃除すると良いでしょう。
倉庫内に物を置きすぎている
倉庫は高温多湿になりやすいだけではなく、保管・貯蔵しているものによってはカビの好む「栄養」が含まれており、カビが発生しやすい環境になりやすい傾向にあります。倉庫内に物を置きすぎていると、空気の通り道が遮られ、熱のこもった空気を倉庫外に逃がしにくくなってしまうのです。倉庫に荷物を置く際は、空気の通り道を意識し、荷物同士の間隔を空けるようにしましょう。
地面からの湿気の影響を受けている
テント倉庫の場合、基礎工事の必要がなく、安定している土地に直接建てることができます。しかしコンクリートの基礎がない分、地面からの湿気の影響を受けやすいといったデメリットもあるのです。
地面からの湿気を受けると構造膜が結露し、結露した箇所からカビが生えます。地面からの湿気を遮断するためにおすすめなのが、グランドシートです。設営時にオプションとして提供している業者が多いため、利用してみましょう。
倉庫にカビが発生しないようにするには?
カビの原因となる湿気が倉庫内に溜まりやすい一番の理由として、空調効率の悪さが挙げられます。一般的に倉庫は窓が少ないため、倉庫内の湿気を外部に放出しにくい傾向があるのです。特に夏場は倉庫内が高温になりやすいため、水蒸気を多く含んだ空気が溜まり、湿気の原因になりかねません。
構造上の問題に加え、保管物が食品の場合はカビが好む「栄養」を多く含んでいるため、さらにカビが発生しやすくなります。
倉庫にカビが発生しないようにするためには、一体どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。簡単にできる対策方法を解説します。
産業用除湿剤を使用する
産業用除湿剤とは吸湿容量が大きい塩化カルシウムを用いた除湿剤で、産業用機械や電子部品の梱包や、コンテナ内などにおける除湿・結露を目的に使用されます。産業用除湿剤は吸湿能力がとても高く、シリカゲルや生石灰を用いた乾燥材の約5倍といわれています。(※)
従来の除湿剤よりも持ちが良く、長期間使用できるメリットも。塩化カルシウムは環境に無害であるため、住宅密集地に倉庫を設置する場合であっても安心して使用できます。塩化カルシウムは吸湿性に優れていることに加えて、特殊吸液剤が含まれているため使用後に潮解液が倉庫内に流出してしまうリスクを防ぐ効果があるのもメリットとして挙げられます。
※参照: 産業用除湿剤 ファインドライBシリーズ | 株式会社テクノスナカタ (2021年11月12日)
ベンチレーターを設置する
ベンチレーターとは、換気を目的に室内と室外をつないだ筒状の換気装置のことをいいます。倉庫の屋根に設置し、天井上部の空気の排気を効率的に行えます。自然換気用として使用するため、電力を必要とせず、機械音の発生もありません。
内部にファンが取りつけられていて倉庫内の換気を強制的に行うものもありますが、自然換気用のものが一般的です。自然動力である分、水蒸気が大量に発生するような環境下であっても使用可能なのが特長です。外部に突出した箇所から雨や風、ゴミなどが吹き込まない構造になっており、耐久性に優れた「ガルバリウム鋼板」「ステンレス」「アルミ」といった素材が用いられています。設置後の補修・交換工事といったメンテナンスが必要ないため、長期間にわたって使用できるメリットもあります。
シーリングファンを設置する
シーリングファンとは、倉庫内の空気の循環を目的に天井に設置するファンのことです。シーリングファンを設置することで、人工的に倉庫内のテントを循環させるため、窓が設置できない倉庫であっても湿気対策を行うことが可能になります。一般的な扇風機の約50台分の風を生み出すため、倉庫内の空気を効果的に循環させることができるのが特長です。
シーリングファンは湿気対策のほか、エアコンを使用しなくても倉庫内の体感温度を3~5℃程度下げられるため、作業員の熱中症対策としても使用できます。※
※参照: シーリングファン 風が与えるメリット | 正和工業株式会社(2021年11月26日)
定期的に湿度計を確認する
カビの発生を防ぐ方法として、こまめに温度計を確認することも大切です。カビが発生しやすい環境は「温度が20~35度、湿度が80%前後」といわれており、日本の気候では6~9月頃がこれに該当します。(※) 夏場でなくても倉庫内は気温が上がりやすいため、温度計は換気を行う目安として役立てられるでしょう。
※出典: カビQ&A | 株式会社衛生微生物研究センター(2021年11月12日)
カビ対策としてテント倉庫を使う手もある
テント倉庫は一般的な倉庫と異なり、膜の交換が可能です。そのため、定期的な膜交換を行うことで倉庫内を清潔に保つことができ、カビ対策ができます。また、オプション機能としてシーリングファンやベンチレーター、窓の設置ができるため、湿気対策にも十分対応できるのが特長です。
湿度が高い時期は倉庫のカビ対策を入念に!
今回は倉庫のカビ対策についてご紹介しました。倉庫は構造上、密室空間になりやすく、屋根裏や断熱性のある壁を備えていないこともあり、外気温の影響を受けやすい傾向があります。その結果、湿気が多い夏場はカビの発生が懸念されるのです。
倉庫内にカビが発生すると見た目が悪いだけではなく、人体に悪影響を与えることがあります。湿度が高い時期はもちろん、年間を通して今回ご紹介した結露対策を実践し、倉庫のカビ対策を入念に行いましょう。